翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

原稿をプリントアウトするかどうか問題(続)

 昨日の記事に、Twitter、Facebookにお返事を下さった翻訳家のみなさんのお答えを、直接このブログを読んでくださっている方のために参考までに下記します。

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 越前敏弥さん

「20年ほど前から、原則としてプリントアウトしません。資源の無駄を避けるというのもありますが、それより大きい理由は「紙のほうが読みやすく、うまい訳に見えるから」です。最終チェックはあえて条件が悪い方でやりたい。もちろん、逆の考え方をする人(最終的に紙で読ませるのだから、紙でチェックすべき、など)もたくさんいるでしょう…(中略)…それはゲラでやればいいと考えています」」

 

前沢明枝さん

「画面だと目が痛くて読めません。なんとメールですら長いものはプリントアウトです。……脳がテレビ画面を見ているような働きしかしてくれないようで、ちっとも頭に入ってきません」

 

大作道子さん

「……視力も悪いし、画面だとどうにも集中できなくて、何度もプリントアウトします。みなさんがどうしているのか、いつも気になっていたのでありがたい情報です」

 

さくまゆみこさん

「私は横書きの画面で徹底的に直して、最終的には縦書きにしてプリントアウトし(紙がもったいないので両面印刷にして)、そこでまた気づいたことを直します。縦書きと横書きで、気づくこともリズムも違うので」

 

夏目大さん

「私はほぼ完全ペーパーレスです。ゲラもできる限りPDFで見ます。最近はディスプレイがよくなったのか、あまり疲れなくなりました。昔はひどかったですが。それこそ15分おきに目を休めたりして」

 

 みなさん、いろいろ工夫、苦労していますねえ。夏目さんはもうパソコン内で完結しているみたいですが、パソコン画面と紙と、あるいは、縦書きと横書きを替えることで、それを意図的にチェック機能として利用している方がいるのも納得です。そうなんです。画面だと気づかないことが、紙だとすぐに気づいたり、あるいは、越前さんのおっしゃるように、印刷されるとそれらしく見えてまちがいに気づかないとか、そういうこともありますね。

 たぶん、ほかにも、画面ではどれくらいの文字の大きさで表示しているのか、フォントは何か、なども、みなさん工夫されているのではないかと思います。このあたりも気になりますが、わたしも最近は、前沢さんと同じで、目が弱くなって、フォントはゴシック、ポイントは大きめになりつつあります。なんかそうすると、文章の繊細さまで失われるような気がします。でも、明朝で打ち込むと、繊細な気分になって、そうはなっていないのかもしれませんけど。

 

 

 じつは、こんなにすぐにレスポンスがあると思わなかったので、みなさん、ありがとうございました。わたしもいろいろ考えてやってみます。

 

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 今日は春の空っぽいです。目を休める効果もあるかも……。

 

(M.H.)