翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

「ふさふさ」まつ毛 (翻訳勉強会5−1)

 勉強会も九月から新しい課題でやっています。メンバーも少し入れ替わり、また新しい気持ちですね。

 月曜日の会で、テキストにしている文章に、"heavy lashes" という表現が出てきました。当番だった方は「ふさふさのまつ毛」と訳したので、「いや、まつ毛は、長い、とか、多い、でしょ」と言ったら、その場にいたほとんどの人が、「ふさふさのまつ毛」に違和感はない、とおっしゃいました。

 ちなみに皆さん女性。

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(会場の絵本カフェ「イングリッシュブルーベル」さんの前は、ちょうどシュウメイギクが満開。雨で首をうなだれていましたが、それもまたよし。)

《リンクはこちら→ Ehon Cafe - English Bluebell - 

   うーん。ネットで調べてみると、たしかに、ふつうに「ふさふさまつ毛」が出てくる……。heavy なので、「長い+多い」という感じでしょうから、「ふさふさ」は、はずれてはいないのでしょうが、自分のコロケーションの中にまつ毛との組み合わせはない。やっぱり使えないなあ。

 こういう性別や、わずか(じゃない?)20年、30年の年齢のちがいで、あるいは、生まれ育った地方や読書体験のちがいで、語彙に対するフィット感や違和感が微妙に異なるのがむずかしい。自分では世間の常識ゾーンの中央値で言葉を選択しているつもりでも、こうして翻訳に関係している人たちの中でさえこれだけ感覚がちがうというのは、ちょっと驚きでした。となると、訳本の読者であるヤングアダルトたちとも、またかなりちがうんでしょうね。授業でも、時々、通じないことがあるからなあ、日本語が……。

 そう考えるとこわいけれど、ある程度、自分の感覚を信じないとできないし、悩ましいところです。

 

 

 

 勉強会のあとでいただいたサツマイモとスダチ。先日の黒枝豆、その前は栗と、秋の味覚をいただきっぱなし。皆さん、ありがとうございます。

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(M.H.)