衆議院の解散、そして選挙、ということになりました。どう考えても、安倍首相のやり方は姑息です。景気が落ち着いているのをいいことに、現政権の基盤を固め、安保法制改悪、海外派兵、改憲の路線を進もうとしていますが、経済は莫大な国債の発行による借金によってかろうじて保たれているだけで、日銀を巻き込んだ財政の健全化は失敗したとしか言えません。
また、安易に「国難」という言葉を使うことは、ほんとうに危うい。北朝鮮のミサイル発射を受けて、それを政局に利用したとしか思えない。戦争へとむかう、戦前の日本の指導者の発言かと思うほどで、背筋が寒くなります。常軌を逸している、と言ってもいいくらい。
本来、朝鮮半島の南北分断は、戦前の日本の朝鮮半島占領の結果であり、間接的に日本に責任があると言ってもいい。ドイツ、ベトナムは統一を果たしましたが、朝鮮半島に統一の気配はなく、日本には、その不幸な対立状況を融和の方向にもっていく責任こそあれ、アメリカ一辺倒の外交政策しかとれずに対立をあおるなど、無責任きわまりない、視野の狭い政策です。(わたしは、自衛隊の存在は憲法に明記してもいいと思っています。もちろん、厳密に(非常に厳密に)海外派兵を禁じることは同時に必要でしょうが……)
また、政府の公文書管理のあり方や、菅官房長官の記者質問への対応、記者クラブのあり方など、国民の目であり耳であるマスコミへの対応は目に余るものがあります。情報の統制は独裁への道につながります。ここは民主主義国家の根幹です。
「自分の生活がとりあえず回っているから現状維持」という考えはまちがっています。子どもや孫につけを回しているだけです。なぜ日本人の多くは現状維持がベスト、と考えるのでしょう。常にベターな選択をするための権利を保証し、そのための制度を維持することが必要なのに。何より、開かれた議論と公平な機会の保証にむかっていない今の政権は非常に危ない。日本の民主主義の現実は、世界的にみればとても民主的とは言えないことは、国連特別報告者や外国人記者クラブの指摘を待つまでもなく明らかで、非常に危機感を覚えます。
いや、ほんとうに危ない状態だと思います。
選択肢は多くありません。民進党の希望の党へのなし崩し的で理想のない合流はがっかりでした。
立憲民主党を中心とした野党共闘への支持しか、今回の選挙の選択はないと思っています。
(M.H.)