翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『オオカミを森へ』(仮題)

 先週から校正に入っている作品です。キャサリン・ランデル作の "Wolf Wilder"、邦題は『オオカミを森へ』になる予定。版元、小峰書店のHPにも出ましたので、わたしも紹介しておきます。9月発売予定。

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 原書の表紙、どうです、いいでしょう? 左から、イギリス版ハードカバー、同ペーパーバック、アメリカ版です。イギリス版では、表紙だけでなく、挿絵もたくさん入っていて、これがすばらしい! 日本語版は、この真ん中の表紙で、挿絵も入りますよお。イラストレーターはフィリピンの Gelrev Ongbico さん。

 彼のイラストのメイキングの記事が以下のサイトで読めます。とにかく見てください。すばらしい絵です。パソコンの画面で見るととくにきれいで、これが原書ではあまりうまく印刷されていなかったのですが、日本版は大丈夫。ゲラで見るかぎり、原書よりきれいに濃淡が出ています! シベリアの森とオオカミたちが、影絵のようなタッチで美しく描かれています。

tygertale.com

 

 ところで、このイラストレーターさんの名前、どう読むのかわからず、あるHPで問い合わせのメアドを見つけてメールしてみました。するとすぐに返事が返ってきました。「ジェルレヴ・オンビーコ」という発音が近いみたいですね。

 ジェルレヴのイラストは、ほんとうにきれい。上にリンクを張った記事を読むと、いきなり挿絵のオファーがイギリスの版元からあったようです。わたしの質問にも、すぐに答えが返ってくるのですから、世界の出版業界はインターネットでつながっています。今回が初めての挿絵の仕事だったらしいですが、この人、これからもあちこちで使われるんじゃないでしょうか。いい絵を描きます。それだけに、きちんと名前の発音を確認しておかないと、今後、表記が揺れるとかわいそうですからね。過去、何人か、そういう作家さんがいます。名前の表記が揺れてしまうと、作品が検索できなくなってしまいますから、最初が肝心と思います。

 

  さらに今回は、この作品の献辞としてあげられている原作者ランデルさんのおばあさまのお名前も、発音にバリエーションがあるお名前でした。これはいい加減に訳せません。そこで、テキストに関する質問と一緒にランデルさんに問い合わせてみました。そうしたら、無事、返事が返ってきて、これで安心して献辞も日本語に訳せます。献辞のお名前が不正確なのは、すごく失礼ですよね。

 

 あ、とにかく、もう少しです。いい本になると思います。お楽しみに!

 

(M.H.)