翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『サブリエル』25周年

「古王国記」の第1巻『サブリエル』の原作、『Sabriel』の25周年記念バージョン(といっても原作の英語版ですが)が発売されました。買ってしまった。

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 カバー絵は1996年のアメリカ版表紙と同じ、Leo & Diane Dillon。この絵に惹かれて買った原書を、当時リーディングをしていた主婦の友社の編集者さんと相談して、翻訳出版に至りました。そう、当時は主婦友でファンタジーを出していたんです。その後、『ライラエル』『アブホーセン』と古王国記三部作を訳しました。同じガース・ニクスの「曜日シリーズ」も出してもらいましたし。でも、今は絶版(泣)。

 

  日本語版はこちら。絵は石橋優美子さん。

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 これが1995年のほんとの初版。たぶん……。いつも言ってるけど、これはハリー・ポッターより前に出てますよ。決してブームに便乗したわけではない、ガース・ニクスのオリジナリティが炸裂してます。

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 そしてこちらが、1996年のアメリカ版。最初にわたしが読んだやつ。わたしのサブリエルのイメージは、この表紙絵のままです。日本語版でも使ってくれ、と訴えたのですがかないませんでした。

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 古王国記はその後も続編が出ていますが、どうもわたしには、三部作でのコンプリート感がおさまりがよく、続編はどれも(全部は読んでないけど)スピンオフのテイストで、ぴんときません。ニクスからは、ツイッターで見つかってしまい、「なんで続編出さない?」と責められましたが、版元がファンタジーやめちゃったんで、と答えてあります。

 

 日本語版の三部作は、今は絶版なので、できれば別の版元から出してくれないかな、と思っています。相談したこともあるんですが、色々タイミングが合わず。どなたか、出したい編集者さんいませんか?

 

(M.H.)