翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

ノンフィクションはつらいよ。

 ここのところ、ノンフィクション作品を翻訳しているのですが、終盤にさしかかって、いつもの調子が出ません。フィクションなら、「あちこち丸くして、なめらかにして」それで味が出ることをめざすイメージなのですが、ノンフィクションだと、どうも勝手がちがいます。

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 簡単にいじれない歴史的事実や引用部分が、砂の中にごろごろまじっているでかい石のようで、いくら推敲しても、文章が丸くなめらかになっていきません。そういえば、『ハーレムの闘う本屋』も、セミノンフィクションでしたが、あれは登場人物たちの一人称の組み合わせでできていたので、いろいろ声色を変えて、結局、物語に仕立てることができたのですが、今度はなかなかそうも行かず、でも、原作者の熱い思いは行間にみなぎっていて、それを日本の読者に伝えるべく奮闘しているのですが、これがなかなか一筋縄では……。

 

 まあ、ちょっと疲れてるってこともあるかな……。

 

 と、今、気がついた。明日は読書会だ。

 課題図書は『あのころはフリードリヒがいた』。

 むむ、これも重たい。

 

(M.H.)