ここのところ、ノンフィクション作品を翻訳しているのですが、終盤にさしかかって、いつもの調子が出ません。フィクションなら、「あちこち丸くして、なめらかにして」それで味が出ることをめざすイメージなのですが、ノンフィクションだと、どうも勝手がちがいます。
簡単にいじれない歴史的事実や引用部分が、砂の中にごろごろまじっているでかい石のようで、いくら推敲しても、文章が丸くなめらかになっていきません。そういえば、『ハーレムの闘う本屋』も、セミノンフィクションでしたが、あれは登場人物たちの一人称の組み合わせでできていたので、いろいろ声色を変えて、結局、物語に仕立てることができたのですが、今度はなかなかそうも行かず、でも、原作者の熱い思いは行間にみなぎっていて、それを日本の読者に伝えるべく奮闘しているのですが、これがなかなか一筋縄では……。
まあ、ちょっと疲れてるってこともあるかな……。
と、今、気がついた。明日は読書会だ。
課題図書は『あのころはフリードリヒがいた』。
むむ、これも重たい。
(M.H.)