一昨日、4月19日(日)、新宿の紀伊國屋サザンシアターで、第1回日本翻訳大賞の授賞式がありました。ファンディングに協力していたので、前の方の席に座れました。とてもアットホームな楽しい授賞式でした。
こんなふうに、発起人の西崎憲さんのギターと、バイオリン、コンガの演奏で開会。
大賞はこちらの2作。
『エウロペアナ』はチェコ語から、『カステラ』は韓国語から(ヒョン・ジェフンさん、斎藤真理子さんが翻訳)、しかも、どちらもお二人の共訳ということになりました。
当初は予定のなかった読者賞は、推薦者がダントツに多かったこちら、わたしも推薦した『ストーナー』に。当日は、亡くなられた東江さんの代わりに、最後の翻訳を手伝われた布施由紀子さんが代理でご出席でした。
審査員はこちら。
左から、発起人の西崎憲さん、柴田元幸さん、金原瑞人先生(私の師匠)、岸本佐知子さん、松永美穂さん。
とにかく楽しくも為になる2時間でした。まず、西崎さんが、ご自身がツイッターでつぶやいた言葉がきっかけになったことや、クラウド・ファンディングであっという間に予想をはるかに超える300万円以上が集まったことを説明してくれました。そして、選考の過程を5人の審査員がざっくばらんに話し、贈呈式に。
それから、生演奏をバックに、『エウロペアナ』は訳者のお二人が順に、『カステラ』は、ヒョン・ジェフンさんが日本語、さらに韓国語で朗読。続いて行われた柴田元幸さんと訳者4人の対談がとてもおもしろかった。
『エウロペアナ』は10年がかりで訳したこと。お二人が半分ずつ訳し、できたところで原稿を交換して調整したこと。『カステラ』は韓国人であるヒョン・ジェフンさん(日本語は完璧でした)が訳したものを、斎藤さんが手を入れたことなど、から始まって、とても書ききれませんが、ここが一番楽しいところでした。
左から斎藤さん、ヒョンさん、阿部さん、篠原さん。
紀伊國屋サザンシアターの400席以上ある座席がほとんど埋まる盛況。正直、びっくりしました。こんなに翻訳文学に関心がある人がいるなんて、心強い限りです。
私的には、『エウロペアナ』の白水社の担当編集者で、10年近く前に、拙訳『わたしの知らない母』を担当してもらったKさんに、久しぶりにお会いてきたことがうれしかったです。あの頃は、Kさん、まだ大学を出てすぐの頃だったそうですが、『エウロペアナ』、読んでみればわかりますが、編集も相当大変だったのではないでしょうか。翻訳者のお二人も、受賞のスピーチで、お礼を言ってましたね。
会が終わって、他の翻訳者さんとも少し話しましたが、「元気をもらった」「頑張らなきゃ」と思った、などなど、みなさん興奮気味でした。
ということで、とりあえずのご報告です。資金はたしか、5年分くらい集まったみたいですから、来年も、またありますよ。とても楽しみです。(M.H.)