翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

フリーランサー

 30年余り勤めた進学塾を、先週ですっかりやめました。30歳すぎで、新卒で勤めていたメーカーをやめ、午後から勤務の塾の仕事に。最初は午前中、翻訳学校に通っていましたっけ。少しずつ翻訳の仕事をしながら、塾では常勤から非常勤、さらに、週2日、1日と、勤務時間を減らしてきました。周囲のみなさんや生徒たちに迷惑をかけながらの講師生活はおしまい。英語を教える資格がとてもあるとは言えなかった時期から、少しずつ知識を増やし、でも、やればやるほど足りないところがわかるばかりの毎日でした。

 生徒たちから教わることもとても多かった。だんだん、いくら先生づらしても、自分は年をとっているだけだとわかり、彼らとの上下関係や優劣の意識もいい意味で薄れていきました。最初は高圧的なほんとにひどい先生だったと思います。

 あまり意図的に選んだわけではない職業ですが、児童書やYAの読者対象者と日々接することができたのも幸運でした。英語のテキストを人に説明できるように読まなければならないことも、とてもためになりました。また、時折舞い込む講演の仕事や、毎週の勉強会にも塾での授業経験が生きています。結果的には、とても巡り合わせのいい仕事をさせてもらってきました。心からこうした幸運に感謝しています。

 

 去年はもう、週一回しか教えていなかったのだし、とっくにフリーランサーなのですが、まったく通勤しなくてよいと思うと、ちょっと心許ない気分にもなります。

 

 Freelancer。"lancer"は槍騎兵。フリーランサーとは、槍をもった自由騎士のことです。

 うん、そう考えると、ちょっと前向きになれるかな。明日は雪の予報なので、その前にと思い、また近所を鉄馬にまたがり「自由騎士」の気分を味わってきましたが、寒い……。

f:id:haradamasaru:20220209104315j:plain

 

(M.H.)