翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『モナのとり』

『モナのトリ』(サンドラ・ポワロ=シェリフ作、水橋はな訳・書き文字、新日本出版社)を訳者の水橋さんから送っていただき、読みました。

 フランスにやってきた難民の女の子の話。表紙に描かれている黒い鳥が、難民の人には一人一羽ずつ、いつもいっしょにいますが、この、鳥がいなくなる日は、さて……。

 判型はそれほど大きくないし、右のページはカラーなのですが、左のページには活字と白黒の線画、書き文字が入っています。面白い構成の絵本。線画は細かく、書き文字も小さめなので、よく見ようと思うと、自然とページの中に入っていく感じがします。ドーンと迫ってくる絵本もいいけれど、この絵本のように、ページの中にこちらから入って読む感じのものもいいですね。

 書き文字は、訳者の水橋さんの字だそうです。書き文字はやったことないなあ。書いてみたいけど、まあ、この字じゃ採用されないか……。

 

 日本でも、ウクライナ難民(避難民)の受け入れが始まり、クルドの人たちの認定が進みそうだという話もあります。もっと受け入れてもよいと思います。こういう本で、わたしたち日本人も、自分の身の回りに起きるかもしれないこととして、少し想像を働かせられるんじゃないでしょうか?

 今、タイムリーな絵本です。

 

 水橋さん、ありがとうございます。

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(M.H.)