翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『日本児童文学 7・8月号』は、ホラー特集

 しばらく更新を怠っていたのは、

1. 毎日暑くてぐったりしていたから、
2. 参院選後の統一教会問題とそれに対する政府与党の対応にげんなりしていたから、
3. ウクライナで相変わらず人が死んでいてやりきれなかったから、
4. ミャンマーでの……

とまあ、うんざりする話ばかりで、なにを書いても暗くなるばかりだったからです。

 

 気を取り直して、本や翻訳関係のことを書いていきましょう。

『日本児童文学 7・8月号』は、特集が「ホラー? horror?! ホラー!」。ホラーブックガイドが掲載されているのですが、その中の「②戦後の名作」のくくりで、拙訳『真夜中の電話 ウェストール短編集』も紹介してもらいました。

 本号は、石津ちひろさんの「スイカのたね」という詩(飲みこんだスイカの種がお腹の中で……ひゃっ)から始まり、あさのあつこさんの短編『なにを埋めるの?』(タイトルからして、もう怖い……)もあり、編集長の奥山恵さんによる「「horror」という言葉で」という文章へと続きます。「ホラー」という言葉は、角川春樹さんが横溝正史作品の復活をしかけるために意識的に使ったらしい。

 その次の記事がホラーブックガイド。①古典的名作、②戦後の名作、③戦後の名作、④1990〜、⑤2010〜、⑥シリーズもの、⑦さまざまな表現、と分けて、それぞれ数冊ずつ紹介されています。

 

 ②戦後の名作に紹介されているのは、『幽霊を見た10の話』(フィリパ・ピアス作、高杉一郎訳、岩波書店、1984)、『足音がやってくる』(マーガレット・マーヒー作、青木由紀子訳、岩波書店、1989)、『ウェストール短編集 真夜中の電話』(ロバート・ウェストール作、原田勝訳、徳間書店、2014)、『ウェストール短編集 遠い日の呼び声』(ロバート・ウェストール作、野沢佳織訳、徳間書店、2014)の4冊。

 

 この短編集は、作品選びと分担決定から、すでに楽しかった作品。カバー絵は、どちらもウェストールファンの宮崎駿さんです!

 そのほか、ホラーにまつわるエッセイや、お化け屋敷プロデューサー五味弘文さんのインタビュー、「こわい話」の入選作などなど、充実しています。

 ぜひ。

 

 自分は「こわい話」はあまり好きではありません。たぶん、その理由は、子どものころに住んでいた家の便所が汲み取り式で、下から手が出てくる話を読んで以来、夜、トイレに行くのが怖くなったから。今の子どもたちは、どこへ行っても水洗トイレなので、そういう感覚はないんでしょうね。わたしは今でも、水洗なのに、夜のトイレが少し怖い……。

 あと、『エクソシスト』の首がぐるん、って回るやつ。あの記憶がどうにも頭にこびりついていて……。

 

 ああ、今は、日本の政治状況がホラーなので、なんとか正常にもどしたいですね。国民が有権者であるうちに。

 

(M.H.)