翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『浦沢直樹の漫勉』

 浦沢直樹さんが一流の漫画家と対談するNHKの番組、『浦沢直樹の漫勉』。この番組知らなかったのですが、新しいシーズン(萩尾望都さん、五十嵐大介さんが楽しみ)が始まるのに先立って、前の番組の再放送がありました。昨日、さいとう・たかをさんの回を見ました。おもしろかったぁ〜。

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(NHKホームページより)

  ゴルゴ13の顔を描く様子は、NHKのサイトで動画で見られます。鉛筆でざっとあたりをつけたあと、まず眉毛ともみあげをフェルトペンらしき太いペンで描き始めるのを見てびっくり。劇画黎明期のこと、プロダクション方式でのチーム製作の話も興味深いものでした。映画、小説、漫画、絵画、音楽、料理、なんにせよ芸術作品の創作過程はおもしろい。

 

 でも、なにが一番印象的だったかと言えば、最後に浦沢さんと話している時に、さいとうさんの口をついて出たセリフ。そのまま引用します。

「我々の世界は映画と一緒で、先にお金を取ってしまう。それから本を売る。そういう世界である以上、お金を先に払っただけの値打ちがないことには、その職業は絶対に衰退する。」

 しびれました。「絶対に衰退する」、ですよ。

 そして、こうもおっしゃいました。

「お金を先に取るという職業。これにはそれなりの意味があるはずです。」

 

 これも深い。よく考えないとね。

(M.H.)

 

www.nhk.or.jp