今日は川越の絵本カフェ「イングリッシュブルーベル」さんで、古典児童書を読む会がありました。課題本は『風にのってきたメアリー・ポピンズ』。子どものころに読んだかどうか、さだかではありません。映画で見た、なんとなく傘につかまって飛んでくるイメージ。スーパーカリフラなんちゃらかんちゃら……、という呪文は、原作には出てきません。ジュリー・アンドリュースのさわやかな感じは別物。
出席者の感想は、おおむね好評でした。小学校のころに全巻そろえた、という人もいれば、今回はじめて読んだという人も。
写真右の岩波少年文庫で読んだのですが、とてもおもしろかった。エブリデイマジック、というか、日常の中に暴力的でない、ささやかな魔法が入ってくるのがいいです。
ちょっと皮肉っぽくて、ふつうの基準でいえばそんなに魅力的な人ではないかもしれませんが、常識がやぶられる快感というのか、やんちゃ心が満たされるというか、子どもたちはいろいろ小言を言われながらもメアリー・ポピンズを慕います。
1954年初版ですから、訳文が古びてしまっても不思議ではないのですが、林容吉さんの訳は今読んでもいいです。読みやすく、ユーモアがあり、イギリスっぽい(?)慇懃無礼な感じもよく出ているし、1934年原作という適度な時代感も感じられる。
当時のロンドンではこういう家政婦さんの存在がめずらしくなかったのでしょうが、人物造形がユニークで、ディテールで勝負する感じや、ベースとなる中流家庭の安定感もあり、安心してくすくす笑いながら読めるお話です。楽しいディテールはいくらでもあげられますが、読んでいない方はぜひ! 楽しい読書会でした。
小学校高学年、読める子は中学年からでしょうか。
(M.H.)