今年はじめての古典児童書を読む会。課題本は『小さなバイキング ビッケ』でした。1963年の出版。日本ではアニメにもなっていたようですが、自分が高校生、大学生くらいの時だったらしく、まったく知りませんでした。主題歌を歌える人がいてびっくり。
(今日のドリンクは、ホットワイン。寒かったのでありがたい! 川越の絵本カフェ「イングリッシュブルーベル」さんにて。あ、ふだんのメニューにはありませんよ。帰り際に、ふだんからやれ、というメンバーの声も(笑))
バイキングの男の子ビッケが、知恵と工夫で大人のバイキングたちの、戦いというか、略奪というか、お仕事というか、それを助けるお話です。どうも、ベースが海賊という悪事なので、わたしは、そこが引っかかってしまいました。
小学校3、4年生くらいが対象でしょうか、楽しく読めると思います。自分がふだん訳している本は、登場人物の内面まで描かれているのですが、この年代が対象だと、そこはあまり深くはつっこまないので、大人になってしまった自分には物足りないというか、登場人物に近づけないというか……。でも、物語を純粋に楽しめる年頃の子どもにとっては、とてもおもしろい作品なんだと思います。自分には、どうも、こういう幼年むけのお話はうまく訳せそうにない……。
翻訳は評論社の石渡利康さんのものを読んでいきました。学研の大塚勇三訳のものをもってきた人もいて、どうやら、大塚さんの訳のほうがリズム感がいいらしい。大塚さん、この作品を原語から訳すために、スウェーデン語を3ヶ月でものにしたという話があるそうですが、ただただ、びっくり。
あ、挿絵がとてもいいです。エーヴェット・カールソンの絵。調べると、政治的な風刺画などもたくさん描いていて、なかなか味があるタッチです。ビッケの挿絵も、とてもデザイン性が高くておしゃれな印象。この挿絵がないと、バイキングの服装や船などが思い描けないので、欠かせないと思います。
次回は『赤毛のアン』が課題。何種類もの翻訳があるのですが、せっかくなので、小学館世界J文学館の田中亜希子さん訳を読んでいこうと思います。
(M.H.)