訳したかったのに、訳されてしまった本シリーズ(?)。
『コードネーム・ヴェリティ』、もうすぐ発売です。アマゾンでは3月21日発売予定。訳者は吉澤康子さん。先日、やまねこ翻訳クラブの読書会でお会いしたばかり。
2012年の作品で、かなり大きくとりあげられていたのですが、なかなか日本で翻訳が出ず、原書をとりよせて読んでみたら面白いので、翻訳権を問い合わせたらおそかった、という作品。
帯の文句がいいですよ。
「謎」の第1部。「驚愕」の第2部。そして、「慟哭」の結末。
必ず再読すべき ── NYタイムズ絶賛!
第二次大戦中のイギリスの特殊部隊の女性と、親友の女性飛行士の物語なのですが、フランスに飛行機が落ちて、ナチスにつかまった特殊部隊の女性が尋問を受けて語る、というか、物語形式で書く、という体裁をとっていて、構造が少し複雑。途中で、あれ? と思うこと数度。だからこそ、「必ず再読すべき」なのです。読み応えあり。
作者はエリザベス・ウェインという女性作家ですが、彼女自身も飛行機を操縦するそうです。帯にはMWA賞受賞の傑作ミステリ、とありますが、もともとヤングアダルト小説です。アメリカのYAの賞、2013年のマイケル・プリンツ賞オナーですし、カーネギー賞候補作、エドガー・アラン・ポー賞のYA部門のベストです。
こういう題材で、しかも、凝ったミステリ仕立ての作品が出てくるところが、英米のヤングアダルトの奥深さなのですが、日本では翻訳されずに埋もれてしまうものもある理由でしょう。幸い、東京創元社や河出書房新社、白水社あたりが、この辺の作品を拾ってくれています。これからもぜひ!!
日本版の表紙もいいけど、原書の表紙もかっこいい。
(M.H.)