こんなことは初めてですが、二日続けて新刊見本がとどきました。
先日も紹介した、『ブライアーヒル の秘密の馬』(メガン・シェパード作、リーヴァイ・ピンフォールド絵、原田勝・澤田亜沙美訳、小峰書店)です。
3月2日発売。どうぞよろしく!
原作とほぼ同じレイアウト、タイトルも淡い藤色で、きれいなカバーになりました。ふつう、こういう時、帯は赤とか使いがちですが、炭色で少し濃く印刷したカバーイラストを重ねています。ちょっと透き通ったように見えるのがいいですねえ。装幀はあちこちでお世話になっている城所潤さん、大谷浩介さん。さすがです。
「少女は灰色の世界で色をさがす」というフレーズは、編集の山岸さんが考えてくれました。そう、そういうお話なんです。戦時下の冬のイギリス、モノクロームの世界で物語は進むのですが、故あって、主人公は虹の色を集める、というのがお話の縦糸になっています。
イラスト、カットが五十点以上入っているのですが、内緒でちょっとだけ……。
本当は、馬のイラストが素晴らしいので、お見せしたいんですが、それはやっぱり、簡単に見せられないというか、ネタバレになるというか、とにかく、素晴らしいイラストであることはカバーに使われているイラストでわかりますよね。共訳の澤田さん、馬が大好きなので、心なしか、馬の描写は生き生きとしていたように思います。翻訳はね、やっぱり、好きなものを訳すのが一番です。
どちらかというと、悲しいお話ですが、その中で主人公の少女エマラインは、光を、色をさがします。帯にありますが、「あなたは、わたしが守るからね」というエマのせりふは象徴的で、人は自分がつらい時ほど、だれかを守ってやろうという気持ちで救われるのかもしれません。
わたしの翻訳する本は、なぜか怖い話や悲しい話が多いと言われてしまうのですが、今回、この作品を訳してみて、大げさに言うと、そうした「悲劇の中の光」のようなものがたぶん好きなんだろう、と改めて思いました。
ぜひ!
(M.H.)