翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

パブロ・ネルーダ『大いなる歌』 

 先日のエントリーで紹介した、拙訳『夢見る人』は、チリの詩人、パブロ・ネルーダの少年時代を、彼の自伝をもとに再構成した本です。巻末にネルーダの詩の英訳が何篇か収録されていたので、その日本語訳にあたって、スペイン語の原典とのチェックをお願いしたのが、この『大いなる歌』の訳者、松本健二さんです。

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 松本さんが、ご自身のブログで『夢見る人』を紹介してくださっています。松本さん、ありがとうございます。

blog.goo.ne.jp

 松本さんのブログは、今は南米文学のことに特化されているのですが、以前は、日常のことも書かれていて、それがむちゃくちゃおもしろかったので、ちょっぴり残念なのですが、まあ、でも、すごい勢いで南米文学を読み、南米へ出かけ、原著者と交流され、翻訳し、研究されているのがわかります。

 松本さんは、一昨年の日本翻訳大賞を『ポーランドのボクサー 』で受賞されていて、その時、懇親会の席で少しおしゃべりさせていただいたご縁もあります。その時の様子はちらっとこちらの過去記事で。

haradamasaru.hatenablog.com

 

 

 

 ネルーダはノーベル賞もとった世界的詩人なのですが、「ノーベル賞もとった」とつけないと、日本ではぴんとこない人が多いのが現状かもしれません。かくいうわたしも、ピーター・シスがプラハのネルーダ通りで生まれていて、そのネルーダはチェコの詩人の名で、ネルーダはこの詩人の名前をもらってペンネームにしたということを、シスの絵本を訳した時に知っていなければ、ネルーダを意識することはなかったと思います。

『夢見る人』は、そのシスの挿絵つながりがきっかけでお仕事をいただいたと思うのですが、とくに今回、松本さんにチェックしていただいた、巻末のネルーダの詩の翻訳で、初めて彼の詩をちゃんと読みました。厳密に言えば、英語に訳された詩を読んだわけですが、それでも伝わってくるネルーダの詩の力を、少しでも多くの人に知ってもらいたいと思っています。

 詩というと、ハードルが高いと思う人もいるかもしれませんが、『夢見る人』では、本編に描かれているネルーダの少年時代のエピソードを踏まえて巻末の詩を読むと、よくわかるというか、イメージがしやすくて、楽しめると信じています。

 

 

 あ、そう言えば、日本翻訳大賞は第5回を迎え、もうすぐ大賞も決まりますね。楽しみです。今年は行けないかなあ……。

 

(M.H.)