翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『夢見る人』書評

 チリの詩人パブロ・ネルーダの子ども時代を描いた『夢見る人』(パム・ムニョス・ライアン作、ピーター・シス絵、拙訳、岩波書店)の書評を二つ。

 

 こちらは朝日小学生新聞(2019年6月2日)に、東京子ども図書館の司書、床井文子さんが書いてくださったもの。そう、小学生には難しいところもあるかもしれませんが、大人の読者には感じられないことを感じてくれるんじゃないかという期待もあります。

f:id:haradamasaru:20190607113047j:plain

 

 もうひとつは、「ばせりの本の森」さんの書評ブログ。すばらしい書評を書いてくださいました。(6月6日付)

……その理由や正体を明かさないまま、物語のなかに置かれた、いくつかの小さな、でも忘れられない美しいエピソードのあれこれは、どんな物語を秘めているのか、と想像しないではいられない。
たとえば、植え込みを越えてきたひつじのおもちゃや、トランクの奥の手紙の束のことなど。
ここにも、詩(物語?)の種がそっと撒かれている。
芽を出させるのは、読者それぞれではないだろうか。

 丁寧に読んでくださっていて、全部引用したいくらい。

 

 訳者は一生懸命原文を追い、細部の再現に没頭しているうちに、全体の構成における部分の意味や、メッセージ性を忘れていることもあり、あとで、「そうそう、そうだった」「ああ、そういうことなのかもしれない」と思うことがあるのですが、まさしくそんな気持ち。

 

 多くの読者の手にとどきますように。

ーーー

(M.H.)