5月2日の記事で、『おれの墓で踊れ』を映画化した『Summer of 85』のことをご紹介しましたが、なんと、あのあと、この映画の劇場用パンフレットに原作との対比を書いてくれないか、という依頼がありました。
もちろん、書きますとも! ということで、『おれの墓で踊れ』を読みなおし、試写用の映像を観させてもらいました。
結論から言うと、映画、とてもよくできています。もちろん、小説、映画、それぞれにしかできないことがあるのですが、映画としての完成度を落とさずに、うまく原作を生かしていると思います。あんまりここで書けませんが、ぜひ、みなさん、映画館へ足をお運びください。原作との比較もおもしろいと思います。さあ、読んでから観るか、観てから読むか?
じつは、ここ何年か、映画をあまり観ていません。中高生のころはほぼ毎日のようにテレビの洋画劇場を見て、大学生のころは池袋の文芸坐をはじめ、都内の名画座に通っていたものですが(二本立て、300円だった。四畳半一間の下宿の家賃がひと月1万2千円だったと思う。たぶん。)、やっぱり、映画いいですね。おそらく、自分の翻訳する際のいろいろな処理は、映画から知らないうちに学んだことがとても多いと思います。せりふの間合いとか、場面転換やクローズアップや、そういう映画の手法は翻訳に生きると思います。
映画館に行くと必ず買っていた劇場用パンフレットに自分の文章が載るなんて、こんな幸せはありません。と、思って、本棚をゴソゴソして、ぱっと一冊抜き出したパンフレットがこれでした。
『アメリカの夜』、副題は「映画に愛をこめて」です。
おおーっ。今の気分にぴったりじゃないですか。しかも、監督は、かのフランソワ・トリュフォー。『Summer of 85』と同じフランス映画です。ジャクリーン・ビセットが美しい。
みなさん、『Summer of 85』の公開は、8月20日。ちょっと先ですが、ぜひ!
(M.H.)