翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

鶴澤寛也さんのこと

 数日前に、女流義太夫三味線の鶴澤寛也さんの訃報を知りました。ご自身のツイッターに、ご家族の方が書きこんでいらっしゃって、えっ、という感じ。ついこのあいだまで、まさにそのツイッターで、あれこれ発信していらっしゃったのに。わたしより若い62歳とのこと。

 三味線のことはまったく知りませんし、舞台を拝見したこともないのですが、寛也さんはYA文学、とくに金原先生の作品がお好きだったようで、その縁で、何度かご挨拶程度ですが、お話ししたことがありました。一昨年、装幀家の桂川潤さんが亡くなられた時に、桂川さんの装幀だった拙訳『ハーレムの闘う本屋』のことをブログに書いたところ、寛也さんがお知り合いだった桂川さんの奥様にお知らせくださり、奥様のお話をまた、わたしに教えてくださったのでした。

 その時のやりとりがスマホの中に残っていて、なんだかとてもやりきれない気持ちになりました。ツイッターの「フォローされています」の表示が残っているのがなんとも……。舞台を見に行けばよかった。自分もいつどうなるかわかりません。会える人には会っておこう、と改めて思いました。

 

 寛也さん、写真で拝見する和装で三味線を抱えた舞台でのお姿とはちがい、ふだんは洋装がとてもお似合いのスマートな方で、ロバート・コーミアがお好きでした。

 ご冥福をお祈りします。

 

 

(M.H.)