翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

桂川潤さんのご冥福をお祈りします。

 数々のすばらしい書籍の装幀を手がけてきた、装幀家の桂川潤さんがお亡くなりになったそうです。62歳でした。まだお若かったんですね。ついこのあいだまで、twitterに投稿されていたのに。

 装幀の仕事はすごく興味があって、このブログでも何度か取り上げてきました。桂川さんとはお会いする機会がないままでしたが、わたしの訳本では『ハーレムの闘う本屋』の装幀が桂川さんでした。ありがとうございました。

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 日本では帯をつけることが多いので、それを考えたレイアウトになっているのがわかります。でも、帯をはずしても、原題が現われるという仕掛け。この本は写真や絵がたくさん入っているので、ページ数をいじれず、原書と同じページ数にするという翻訳書ならではの難しさがあったはずです。

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 左ページ、本のような階段のようなイラストは、原書と同じように見えてちょっとちがう。本文も2段組になっています。文字は原書を生かしてゴチック系のフォント。写真やイラストの多いこの本は、絵本と同様にページ数をいじることができず、レイアウトに苦労していただいたようで、なかなかゲラが出なかった記憶があります。

 

 カバーをはずすと、イラストを生かした、訳書オリジナルの表紙が現われます。これ、好きです。図書館本では見えません。

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 お会いして、お話をうかがいたかった。残念です。

 ご冥福をお祈りします。

 

(M.H.)