週刊読書人に、岩尾光代さんが『キャパとゲルダ』の書評を書いてくださいました。岩尾さんは、毎日新聞で昭和史の執筆に携わっていた時の写真の力に言及なさっています。そういう方に、きちんと評価していただいて、訳者としてはうれしいかぎり。
書評の中で「ルビが多い記述は、訳者の意図かどうか、「戦争を知らない子どもたち」に伝えたい青春物語とも読んだ。」と書いてくださいました。その通りです。そして、それは、もともとヤングアダルト向けにこの本を執筆した原作者たちの意図でもあります。
ぜひ、多くの若い読者の手に届きますように。原文もそうですが、訳文も、できるだけわかりやすい文章にしたつもりです。
折しも、アメリカ軍によるイラン軍指揮官の殺害が起こったばかり。トランプ大統領の指示や発言は、およそ大国の指導者のものとは思えません。イランは報復措置として、イラクの米軍基地を攻撃しました。
結局、戦場になっているのはイラクです。
ゲルダが取材し、味方の戦車に轢かれて命を落とすことになった戦争はスペイン内戦。スペインでは、ドイツやソ連の介入で多くの民間人が命を落とし、あるいはやむなく亡命しました。キャパが地雷を踏んで命を落としたのは、米ソが介入したインドシナ半島。
爆弾が落ちる土地に暮らす人たちのことを考えてほしい。
(原書"Eyes of the World"の書影)
(M.H.)