世界の名作125作が読める「小学館世界J文学館」が11月22日に発売されます。収録作品も順次、1作ずつ発売されていく予定。拙訳『タイムマシン ほか二編』も同日、Kindleで買えるようになります。
『タイムマシン』は時間旅行ものの走りとされているウェルズの傑作ですが、今回訳してみてほんとうに傑作だと感じました。時間旅行は今も不可能ですが、主人公が80万年後の世界で目にする人類の進化・退化、社会や自然の変化、また、さらにその先の、地球が惑星として死んでいく光景など、ウェルズの科学知識にもとづく描写がみごとです。
そして、もちろん、読者を飽きさせないエンタテインメントとしてのストーリー展開や作品構造など、ほんとにおもしろい。
今回は、中高生くらいを読者層に設定していますが、ウェルズの作品はもともと子ども向けに書かれたわけではないので、なかなか翻訳はたいへんでした。それでも、できるだけ読みやすく、でも、はしょらず、ていねいな訳を心がけたつもりです。
そして、収録されている短編二編が、また傑作。ウェルズは生涯で長編を50作、短編を90作以上書きました。その中から『奇跡を起こせる男』、『緑色のドア』という、わりとポピュラーな作品を訳しました。どちらもすばらしい。短編としての展開の早さと、ウェルズの時間や空間に対する独特の柔軟な見方が存分に生かされた、らしい作品です。
『世界J文学館』自体も、同じく22日に発売。こちらは125作品のガイドとなる紙の本1冊と、そこからPC、スマホ、タブレットから各作品をネットで読むことができる電子書籍です。わずか5500円。あ、わたしが訳したのは『タイムマシン』ともう一作、『野性の呼び声』です。
https://www.shogakukan.co.jp/pr/sekaij/
どうぞよろしく!!
(M.H.)