拙訳『エベレスト・ファイル』の原作者、マット・ディキンソン(Matt Dickinson)さんが今週来日して、東京近郊の複数のアメリカンスクールでスピーチをしました。ツイッターでそのことを知って連絡すると、お茶でも飲もう、という話になり、お会いしてきました。
とてもフレンドリーな方で、おもしろい話をたくさん聞かせてもらえました。お隣の女性はルース・イーストハム(Ruth Eastham)さん、やはり若い人むけの小説を書いている作家さんです。
メールや手紙のやりとりはあっても、原作者と直接会う機会というのはなかなかなくて、『二つの旅の終わりに』のエイダン・チェンバーズさん、『ザ・ブック・オブ・ザ・ダンカウ』のウォルター・ワンゲリンさんと、今回のマットでたぶん三人目です。
エベレスト登頂も果たしているクライマーであり、BBCのネイチャー番組の撮影やプロデュースなどもしてきた方で、作家とはいえ、むちゃくちゃ行動的な人です。イギリス人ですが、家はバルセロナにあるとのこと。今年はオーサービジットでイギリス中の学校を100校も訪問しているそうです。今回の来日は、日本のアメリカンスクール数校がお金を出し合って招聘しているそうです。前もこのブログに書きましたが、中学校や高校で作家を学校に呼んでイベントをひらくために予算があるというのがうらやましい限り。おかげで、ノマドのような暮らしだ、とそれでもとても楽しそうに話していました。いったい、いつ小説を書いているのやら。
左奥:『エベレスト・ファイル シェルパたちの山 』
右奥:同原作 "The Everest Files"
手前:マットの最新作 "Lie, Kill, Walk Away"
『エベレスト・ファイル』は、「はじめての海外文学vol.2」に推薦した作品です。12月11日のイベントではわたしが推薦のスピーチをするので、その時にマットのメッセージも紹介できたらと思っています。
これ、3作シリーズで(アイデアはまだまだある、と言ってましたが……)、2作目の "North Face"はすでに刊行済み、3作目の "Killer Storm" は来年刊行予定だそうですが、その3作目の結末を少し教えてもらいました。これが衝撃の展開でびっくり。ここに書きたいけど、書けません。すごいネタバレですから。
とにかく、知的で真摯で、アウトドア派ならではのフットワークの軽さもあり、それでいて細やかな気遣いのある、とても魅力的な方でした。こういう人と話ができる機会をもてたのも、翻訳とSNSのおかげです。感謝。
(M.H.)