翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『世界はこんなに美しい アンヌとバイクの20,000キロ』

 昨日に続いてオートバイの話。

 来週10月26日発売の絵本、『世界はこんなに美しい アンヌとバイクの20,000キロ』(エイミー・ノヴェスキー文、ジュリー・モースタッド絵、横山和江訳、山烋(さんきゅう)発行、工学図書発行・発売 2000円+税)のご紹介です!

 この本は、1973年にオートバイで世界を一周したフランス人女性、アンヌ=フランス・ドートヴィルさんの旅の様子を描いたものです。翻訳の横山和江さんから、工具の名称などの相談もちょっぴり受けていた縁で、編集担当の細江幸世さんから発売前にいただきました。ありがとうございます。

 わたしはモースタッドの絵が大好きなので、訳したいと思って調べたら、もう横山さんが翻訳にとりかかっていらっしゃいました。モースタッドは色使いがやさしく、デザインされたポスターのような絵を描く画家ですが、わたしは大好きです。カナダの方ですね。

 作品は、わたしの乗ってるW400と同じ、やはりカワサキ製のバイク(絵や写真を見ても、いまいちこれと車種を特定できないのですが、オフロードの125ccみたいです。)で世界を回った時のことを絵本にしたもの。各地で出会った人々との交流や記憶に残った景色が、モースタッドの絵で表現されています。彼女の絵は中間色がほとんどで、図案化された平面的な印象なのですが、それがなんだか、つらいことや危険なこともあったであろうドートヴィルさんのバイク旅の中から、豊かで心温まる体験だけをぬきだし、やさしく読者に見せているような気がします。

 カナダの大自然の中でのキャンプ、インドで出会った象、まだ顔があるバーミヤンの石仏や、やさしいアフガニスタンの人たち。日本にもたちよったそうです。1970年代、女性のバイク一人旅などする人はほかにいなかった。

 

 いろいろな意味で元気の出る絵本。そして、人間への信頼感も思い出させてくれます。

 来週発売。ぜひ!

 

 左はドートヴィルさんが世界一周した直後に撮影された写真をあしらったリーフレット。今回、ご本人から送っていただいた写真や資料をもとに、日本語版用に作られたものだそうです。ご本人の言葉が収録されていて、これ、いいです。

 

 版元ドットコムのリンクはこちら。

【 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784769205029 】

 

(M.H.)