翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『「幸せの列車」に乗せられた少年』

 ここのところ、立て続けに、知り合いの翻訳者さんから、ご自身が訳した本を送っていただいています。読んでから紹介しようと思っていると、積読状態になり、やがて紹介するのもはばかられるくらい時間が経ってしまうので、この何冊かは、とにかく紹介することにしました。

 今日、ご紹介するのは、関口英子さんから送っていただいた、イタリア語からの訳書、『「幸せの列車」に乗せられた少年』(ヴィオラ・アルドーネ作、関口英子訳、河出書房新社、2022年9月30日発行)です。印象的な装幀ですね。装画はNaffyさん、装幀は名久井直子さんです。

 

 関口さんからはお手紙をいただき、主人公の少年の口調や文体が定まらなかった時に、拙訳の『ペーパーボーイ』を読んでくださり、なんとなく、少年が頭の中で生き生きしてきたのだ、とうれしいことをお知らせくださいました。

 

 オビ裏のブラーブを紹介しておきます。

「本書は、里親の許に送られた一人の少年の人生を、あらゆる側面まで包み隠さず語り尽くしたという意味で意義深く、また読む者に真の勇気を与えてくれる。 ──ラ・レプッブリカ紙」

「これは絶対に読むべき、たいへん美しく、かけがえのない小説だ。保証してもいいが、読み終えたあと、あなたの心に何か大きなものが残るだろう。あなたを少し変えてくれる何かが。そしてそれは永遠に消えない。 ──マウリツィオ・デ・ジョバンニ(作家)」

 

 この本は、戦後のイタリアで実際にあった、貧しい子どもを受け入れる社会活動「幸せの列車」を背景にした物語だそうで、これも戦争の被害を受けた子どもたちの話、と言えるでしょう。子どもたちに明るい未来をとどけるのは大人の仕事。今の日本の社会はどうか? と考えてしまいます。

 

(M.H.)