翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

舞台「弟の戦争」、今日から!

 今日から、池袋のシアターグリーンで、劇団俳小による舞台「弟の戦争」の公演が始まります。

 12月7日(水)から12月11日(日)まで。今日は夜の部(19:00〜)、木・金・土は昼の部(14:00〜)と夜の部(19:00〜)、11日(日)は昼の部(14:00〜)のみ。

( 劇団俳小第42回本公演『弟の戦争』|劇団俳小 )

 

弟の戦争

 

  物語は、湾岸戦争の際、イギリスの中流家庭に育っている主人公トムの弟に、砂漠で戦っているイラク人の少年兵の魂が乗り移ってしまう、というプロットを中心に展開します。現代の戦争のあり方、そして、いわゆる先進国でそれをテレビ画面のこちらから見ている我々の姿勢への強烈なメッセージがこめられた作品です。

 篠原久美子さんの脚本は、原作にかなり忠実で、これをどうやって舞台でやるのだろう、と思いますが、以前、同じ篠原さんの脚本で青年劇場が上演した時は、細やかなバランス感覚が働いた、しかし、胸に迫ってくる素晴らしい舞台でした。

 

 

 わたしが初めてイラクを訪れたのは、1981年。そして、翌1982年から83年にかけて一年間滞在、その後も、何度か、仕事で訪れました。なので、理屈ぬきのシンパシーがイラクにはあります。今も大変な状況が続いているイラクですが、少しでも多くの人が関心をもってほしい。

 

 ぼくが初めてイラクを訪れたのは1981年のことでした。十年後の湾岸戦争でイラク軍が背走することになる道を、バスでクウェートから陸路、国境の町サファンに入りました。十月だというのに四十度を越す猛暑。入国手続きを待っていると、七、八歳くらいの男の子が近づいてきて、ぼくのトランクを指さしました。「ミスター、ミスター」彼は入国する人たちの荷物をタクシーまで運んで小銭を稼ぐイラクの少年たちのひとりでした。

 本書『弟の戦争』の原作 "Gulf" を初めて読んだとき、主人公の弟フィギスにのりうつるイラクの少年兵ラティーフの表情に、ぼくはこの男の子を思い出しました。……

(『弟の戦争』ロバート・ウェストール作、拙訳、訳者あとがきより)

 

 

 ぜひ!!!

 

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(M.H.)