カチャ・ベーレン作品紹介第3弾は、先週発売されたばかりの『ぼくたちは宇宙のなかで』(原題 "The Space We're In" )。評論社から、こだまともこさんの翻訳で。
なんて魅力的なカバーなんでしょう。日本語版の装画は嶽まいこさん、本の装画をたくさん手がけていらっしゃいます。原作の表紙はローラ・カーリン。味のある絵を描く人で、探したらうちにも2冊、
いや、3冊あった。
この人、とても個性的な絵を描く画家で、原書には訳書に収録されていない挿絵、というか、カットがたくさんあります。興味のある方は原書も手に入れてみてはいかがでしょうか。
ああ、またヴィジュアルの話から入ってしまいましたが、この作品はベーレンさんのデビュー作です。自閉スペクトラム症の弟と主人公のお兄さんの話。原書では章タイトルが数字だけで、これが巻頭にある暗号表で調べるとアルファベットになっていて、照らし合わせると読めるしかけです。日本語版では、さすがにそこまでできないので……。
ベーレンさんのうねるような長い文章は、すでにこの作品から用いられています。訳書はぱらぱら読んだだけですが、こだまさんの訳文はさすが上手に再現しています。訳者あとがきを読んでいたら、wild という言葉を、ベーレンさんはよく使うという話が書いてあり……。
まあ、この先は、ぜひ本書を手に入れて確かめてください。
さて、ベーレン祭り、邦訳4作目となる拙訳『ぼくの中にある光』は、19日発売とご案内していましたが、15日発売らしいです。くわしいご紹介はまた別途。
(M.H.)