翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『ぼくの中にある光』、11月19日発売!

『ぼくの中にある光』、校了しました。カチャ・ベーレン原作、岩波書店から、11月19日発売です。

 これは原書、"The Light in Everything" の表紙。『ぼくは川のように話す』の絵を担当したシドニー・スミスが装画を描いています。日本語版の表紙も同じ装画ですが、タイトルの文字やレイアウトのおかげで、また少しちがった印象になります。しばらくお待ちを。

 

 ベーレンはデビュー2作目の『わたしの名前はオクトーバー』(原題 "October, October")でカーネギー賞を受賞した才能あふれる作家です。"October, October" は原書が出てすぐにとりよせて読んでいたのですが、ちょっと変わった文体で、イギリスでどう評価されるのかと思っていたら、カーネギー賞をとりました。この辺はいつも迷うところで、内容だけでなく、個性的な文章表現をどう評価するかはむずかしい。さらに、それを翻訳するのもむずかしいし、日本でどう受け止められるかもわからない部分があります。

『わたしの名前はオクトーバー』は評論社から、こだまともこさんの訳で出ています。センテンスの長い、うねるような一人称の文体をうまく日本語に移していると思います。

『オクトーバー』は女の子一人の主人公でしたが、『ぼくの中にある光』は、女の子と男の子、二人主人公で、それぞれの一人称語りの短い章が交互に連なってゆきます。視点が増えたことで、登場人物の人間関係や、読者の受け止め方もそれだけ多様になり、『オクトーバー』のぐんぐん入り込む感じと比較して、広がりや化学変化が味わえる作品だと感じます。『オクトーバー』でカーネギーをとっていなければ、『ぼくの中にある光』でとっていたと思います。事実、二年連続で最終候補の5作に残っていますし。

 

 では、また、本作品やカチャ・ベーレン情報を出していきますので、乞う、ご期待!

 

(M.H.)