翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

押しがけ

「押しがけ」〔名〕【オートバイ】バッテリーが上がってしまった時に、ギアを1速、ないし2速に入れ、クラッチを切ったままオートバイを押して走り、勢いがついたところでクラッチをつないでエンジンをかける方法。

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 年末からずっとバイクに乗れず、バッテリーがあがるんじゃないかと気になっていました。昨日の朝、とにかく、乗るか乗らないかはさておき、エンジンがかかるかどうか確かめておこうと思い、カバーをはずして、おそるおそるキーを挿し、セルボタンを押すと……。

「キュル〜ン、キュル〜ン」と頼りない音。バイクに乗ってる人ならよくわかると思うのですが、頼むからかかって、と、切なくなる音なのです。しかし、願いも空しくセルの勢いは弱くなるばかり……。

 あーあ、押しがけか……。押しがけとは、冒頭に書いたようなことで、もちろん、これはわたしの頭の中の辞書にあるだけで、ふつうの辞書には載ってないでしょうね。昔はよく、自動車でもうしろから押してもらってエンジンかけましたよね。バッテリーが今ほどもたなかった時代です。オートマ車だとできません。できるのかな? バイクでも、最近のインジェクションタイプのものはどうなんでしょうか? W400はキャブですから、こういう時は希望がもてる。

 ホンダのNV400SPに乗ってたころ、やはりバッテリー上がりで押しがけに挑戦したことがあるのですが、何度やってもかからなかった。シャフト駆動、しかも横置きエンジンなので、二度ベベルギアを介して後輪の回る力をクランクシャフトからピストンに伝えるのは大変だったのでしょう。ガソリンスタンドの店員さんで、かなりバイクに乗りこんでるとおぼしきお兄さんにもやってもらいましたが、やっぱりかからず、近くのバイク屋まで押していった覚えがあります。

 

 でも、とにかくチャレンジだ。1速に入れ、チョークを引き、押し始めるも、なかなかスピードが上がらない。とりあえずクラッチをつないでみる。カクン。だめだ。もう一度、押して、つなぐ、ブルンブルン。え? あっさりかかった! 

 W400って、こんな簡単に押しがけできるんかい。なんていい子なんだ! 早足で歩いた程度の速度なのに。シートに体重かけてもないぞ。たぶん、車重が思いことと、単気筒ではないし、チェーンだし、タイヤ径も大きいし、押しがけには好条件がそろってるんだろう。しばらく暖機。チャージできたかなあ。エンジンを切る。セルボタンを押す。押したとたんにエンジンがかかった。

 ということで、風邪は治りきっていないけれど、いつもの1時間コースを走って、少しバッテリーに電気を貯めてきました。W400も寒くて風邪ひいちゃったんだよな、きっと。

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 気温のわりには風もなくて温かく、楽しく乗れました。視界が開けると、南から、富士山、秩父の山々(武甲山が白い)、真っ白な浅間山、そして雪をかぶった上越の山塊がきれいに見渡せました。走ってよかった。

 

 やっぱ、一週間に一度くらいは触ってやらないと、バイクは機嫌を損ねちゃう。放っておくと、ろくなことはない。走らないとどんどん劣化するのがオートバイという乗り物だ。寒くても、かまってやろう。

(M.H.)