昨日は神田の出版クラブビルで、JBBY(日本国際児童図書評議会)のシンポジウムと、50周年を祝う会がありました。2時からのシンポジウム「いま、子どもの本へ世界とどうかかわるのか」では、世界で活躍している作家・画家のみなさんからのビデオメッセージにつづいて、岩瀬成子さん、長倉洋海さん、さくまゆみこさんのトーク。
ビデオメッセージはとても豪華なメンバーで、デイヴィッド・アーモンドから始まり、ジャクリーン・ウッドソン、ピーター・シス、ラフィク・シャミ……、最後にエミリー・ロッダさん。ピーター・シスさんが、日本語版の『星の使者』をめくりながらお話ししてくださって、とてもうれしかった。ただ、やはり、ウクライナ、ガザのことについて触れる方が多く、気が重くなりましたが、子どもの本の意義についても再確認できました。
つづく岩瀬さん、長倉さん、さくまさんのトークもよかった。世界中で子どもたちの写真を撮ってきた長倉さんの話は、毎日活字やパソコンとにらめっこしてばかりの自分にとっては大変刺激的でした。
5時半からは、50周年を祝う会。
こちらも豪華なゲストで、角野栄子さんのスピーチから始まり、田島征三さんの音頭で乾杯。ずーっと編集者さんや翻訳者さんとおしゃべりして、紹介しあって、とても楽しい時間でした。JBBYの50周年でしたが、自分にとっても、子どもの本を訳しはじめて30年あまりがすぎ、その間に一緒に本を作ってきた人たちや同業の人たちにまた会えて、幸せな時間でした。
初めてお話しできたのは、来賓でいらっしゃっていたレナード・マーカスさん。彼の著書を翻訳した児島なおみさんの紹介でお話しできました。マーカスさんはアメリカの児童文学の研究者ですが、ハーパー社の名物編集者の書簡集『伝説の編集者、ノードストロムの手紙』の著者です。話しているうちに、わたしもこの本をもっていることを思い出しました。
ノードストロムが作家や画家たちとやりとりした手紙をまとめたものです。当時はタイプライターで打っていたので、ハーパー社にカーボンコピーが残っていて、それを読んでまとめたそうです。2年かかったらしい。訳すのもたいへんで、児島さんにきいたら、マーカスさんとやりとりしながら8年。うーん。なにせ500ページ近くある大部なので、わたしもぜんぶは読めていないのですが、作家からのラフやゲラを見て、ほめたり、ダメ出ししたり、なんだか身につまされるやりとりがたくさん出てきます。
会の途中でじゃんけん大会があり、じゃんけん係を仰せつかりました。JBBYの「50周年記念ブックリスト」と、出たばかりの拙訳『ぼくの中にある光』をかけて、わたしとのじゃんけんを勝ち抜いたのは世界文化社の編集者さん。ん? 世界文化社? と思い、たずねたら、なんと11月4日のエントリーで触れた、宮沢賢治の作品集を担当された方でした! びっくり。
と、そのほか、あれこれ、いろいろあった楽しい会でした。企画、運営してくださったJBBYの理事、係のみなさん、ありがとうございました!
これはおみやげのこんぺいとう。とてもきれいで食べられない。
(M.H.)