翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

追悼、エイダン・チェンバーズさん

 イギリスの児童文学作家・評論家で、国際アンデルセン賞の受賞者でもあったエイダン・チェンバーズさんが、5月11日にご逝去されました。90歳でした。

(右側は、来日された時にいただいた、スコットランドの詩人、Thomas A Clarkの詩集)

 

 チェンバーズさんは1934年、イングランドのダラムで生まれました。高校卒業後、海軍で二年間の徴兵期間を過ごし、その後、大学に入って教師となります。33歳で教師を辞めて、作家活動と読書教育の普及に尽力されました。

 作家としては全6作のYA作品群があり、日本では『おれの墓で踊れ』(浅羽莢子訳、徳間書店、1997年)、『二つの旅の終わりに』(拙訳、徳間書店、2003年)、さらに小説ではありませんが、『みんなで話そう、本のこと──子どもの読書を変える新しい試み』(こだまともこ訳、柏書房、2003年)が翻訳されています。

『二つの旅の終わりに』でカーネギー賞を受賞、『おれの墓で踊れ』は2020年に映画化され、日本でも『Summer of 85』というタイトルで公開されました。奥様のナンシー・ロックウッドさんとThimble Pressという出版社を設立、児童書・YA文学に関する雑誌「SIGNAL」を創刊し、その活動が評価されて、ご夫妻でエリナー・ファージョン賞を受賞しています。

 こうした業績全体に対して、2002年に国際アンデルセン賞が贈られました。

 

 

『二つの旅の終わりに』の翻訳は、今思えば、実力不足も甚だしかったと思うのですが、大変な幸運でもありました。

 

 ご冥福をお祈りします。

 

(M.H.)