翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『エアボーン』原作者オッペルさんの朗読!

 ケネス・オッペル氏の朗読プロジェクトは2週目に入っています。

 今日は、拙訳もある『エアボーン』!

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 以下、彼が朗読している第1章の冒頭を少し以下に引用します。

 

「  第1章 船の目

 船は夜明けにむかって進んでいた。てっぺんの見張り台に立つぼくは、言ってみれば船の目だ。シドニーを出て二日目の夜のことで、ここまではたいした天候の変化もなかった。北西にある一塊の黒い雨雲に気をつけてはいたが、今はもう、その雲もはるか後方に遠ざかり、どうやらライオンズゲートシティへの帰路は、おだやかなものになりそうだった。まるで雲に乗っているかのようだ。

 空はまたたきで息づいている。夜空を見あげているとさみしくなるとい言う人がいるが、ぼくにはその理由がわからない。夜の空はにぎやかだ。今では、名前のわからない星座は一つもない。オリオン座。オオカミ座。ヘビ座。ヘラクレス座。竜座。父さんは星座にまつわる話を残らず教えてくれた。夜空を見あげると、銀河は冒険や英雄や悪漢たちでいっぱいで、みんな押し合いへしあいしながら、われがちに語りかけてくる…… 」

(『エアボーン』、ケネス・オッペル作、拙訳、小学館)

 

 飛行船での少年マットと少女ケイトの冒険物語。おもしろいよ!

 

 挿画は坪内好子さんの銅版画。大好きです、この表紙。

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(M.H.)