昨日は、日比谷公園内にある日比谷図書文化館で行なわれた、第二回日本翻訳大賞授賞式&トークイベントに行ってきました。去年もそうでしたが、今年もおもしろくて、しかも有意義な、とても濃い二時間でした。これで、また一年、翻訳に前向きにとりくめる活力をもらいました。
(日比谷公園の緑が鮮やかでした。)
詳しい内容は、また日本翻訳大賞のHPに掲載されるでしょうから割愛しますが、印象に残ったことを二つ、三つ。
まずは、受賞者お二人のなんと対照的なこと。
柴田元幸さんの質問に答える『ムシェ 小さな英雄』の訳者、金子奈美さん(左)と、『素晴らしきソリボ』の訳者、関口涼子さん(右)。
『ムシェ』の(柴田さん曰く)ミニマリズムそのままに、言葉を選んで穏やかに語る金子さんと、やはり『ソリボ』の(柴田さん曰く)マクシマリズムそのままに、饒舌に明るく話す関口さんでした。訳者と訳文は重なるんですね。いや、そういう原作を選ぶということでしょうか。
今年も朗読がありました。『ムシェ』は、まず、原作者のキルメン・ウリベ氏の朗読が映し出されたのですが、はじめて聞くバスク語のふしぎな響きが印象的でした。
そして、金子さんが、ウリベの朗読した部分を日本語で朗読したのですが、ズバリ、先日、わたしが4月19日の記事で引用した二つ目の部分でした。主人公が翻訳について語る場面です。なんだか、とてもうれしい。
関口さんの朗読というか、講談(?)というか、発起人の西崎さんらが奏でる音楽にのってのパワフルな語りは、観客との掛け合いまであり、大いにもりあがりました。『ソリボ』は読んでいないのですが、なんだか、すごい作品のようです。
去年も思ったのですが、受賞者である金子さんのバスク語、関口さんのフランス語は、とてつもなく高いレベルにあります。ひるがえって自分は、と比較だけしても仕方ないのですが、襟を正して一生懸命とりくむしかないな、と今年もまた肝に銘じたしだいです。
会場となった日比谷図書文化館のコンベンションホールは、200名ちょっとの小さなホールで、チケットは前売り分が完売。わずかな当日券を求める方もいて、満席でした。選考委員の皆さん、受賞者、会場の反応、どれも素晴らしかった。元気をもらいました。
運営に携わった皆さんにお礼申し上げます。そして、来年も、再来年もよろしくお願いします。
(M.H.)